奥沢〜玉川田園調布〜自由が丘の地域にゆかりのある人物を講師にお招きし、毎回多彩なテーマでお届けする講演会「人ひろば」。本日の講師は、自由が丘と京都を拠点とする出版社、ミシマ社代表の三島邦弘さんをお迎えしました。1F講座室前で、ミシマ社さんによる本の出張販売も行われましたよ〜。
三島邦弘さんは1975年京都生まれ。東京の出版社2社で単行本の編集をつとめたのち、2006年「原点回帰」を掲げ、単身、自由が丘でミシマ社を設立。その原点回帰とは。「一冊の面白さを追求する。思いを込めて作るのはもちろん、こんな本を待っていたという人へ届けるところまでやる。その出会いをしっかり作っていくこと。」
「会社を大きくしないこと」を目標とするミシマ社の、自由が丘のオフィスはすべて畳部屋の一軒家(築47年)。会議は毎回、社員6名全員で、写真のちゃぶ台を囲んで行われます。すでに2代目のものだそう。
自由が丘で出版社を始めた理由は?「“出版とはこういうものだ”という、色んなことをやりにくくしている空気のある、出版の中心から距離をおいてやろうと思った。自由が丘でやっているから、こういう本が作れる。京都にもオフィスを構えたのも、東京一極集中じゃない流れを作りたかった。それぞれの土地でいきいきとして、面白いのがいい。」
「出版不況だ、活字離れだという雑音に惑わされず、効率化とビジネスのマジックに負けず、面白い本は面白い、待っている人はたくさんいる、という本質的なほうへ耳を澄まし、まっすぐやっていけばいいんじゃないかと思った。」という熱いお話も、楽しいエピソードを交えつつ、リラックスした、ほがらかな調子なのです。
たくさんの質問と、笑い声の絶えない講演会となりました。のびやかで肩の力のぬけた、実践的な三島さんのお話に、出版関係の方のみならず、色々な方が力をもらえたのではないでしょうか。



(C) SETAGAYA ART MUSEUM All Rights Reserved.
当館ホームページ内に掲載されている全ての画像・テキストの無断転用・転載をお断りします