奥沢~玉川田園調布~自由が丘の地域にゆかりのある人物を講師にお招きし、毎回多彩なテーマでお届けする講演会「人ひろば」。宮本三郎記念美術館と、美術館周辺地域にお住まいの「地域の会」の方々が毎回コーディネーターとなり、多彩なテーマで行っています。
33回目となる「人ひろば」。今回はノンフィクション作家平野久美子さんを講師にお迎えし 医師・中尾聰子氏の生涯を綴った著書「奥沢の町医者・中尾聰子~つなぐ命、つなげる心」について、ご講演頂きました。
平野さんはご出身が同じ奥沢という縁で、この地で昭和34年から平成24年まで53年間もの間、地域医療に貢献されてきた医師・中尾聰子氏の生涯を知り、深く感銘をうけ、このことを多くの方に知っていただきたいと、本にされることを決意されたそうです。
東京大空襲時、当時医学生だった中尾氏はその大空襲のため、家族9名を亡くされるという大変な悲劇に見舞われながらも、悲しみを乗り越え、学業を全うしました。「少なくとも私は人を失うことの悲しみを知る医師であった。それが私の医療を貫くものであった」という残されたご本人の言葉通り、一町医者として患者に寄り添う人生を歩まれたということです。
この講演会には、かつて中尾氏の診察を受けられた方もお話を聴きにいらしてくださいました。また、中尾先生にあこがれて医者の道に進まれた方もいらっしゃるとのこと、地域の方ならではのエピソードをお客様からも聞かせていただきました。